| 第20回 「 人権擁護は誰のためにある」 2008年4月 | |
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おかしな集団、国連人権理事会 今回は人権に関わる問題で、看板に偽りが歴然としている国連人権理事会と同和問題を影に潜めて今な お蠢動、日本を混乱に陥れんとしている極悪「人権擁護法案」の問題点について述べたい。このような内容 のため可なりの長文になることをあらかじめお断わりしたい。 人権擁護とは 何者に対しても等しく行われるものであるはずだ。国家であれ、個人であれ虐げられた相 手に対して手を差しのべるべきなのだが、それが今回のチベット騒乱で、ものの見事にそうではないことが証 明された。 日頃、「人権、人権」と唱えている朝日新聞をはじめ一部の報道機関は、中国の姿勢に対して非難、批判 することを避けており、言行不一致も甚だしい。 これでは「社会の木鐸」の看板は剥奪されて当然である。 許されないといえば、世界中で最も権威あるべき国連人権理事会が何人にも先んじで中国の対応に、強 硬な声明を出すべきなのに、一言もないのである。 その理由はこの人権理事会なるものが、中国、ロシア、そして人権問題を抱えている一連の国が多数参 集しているためで、彼らは自国擁護・防衛のため跳ね返りを恐れて触れようとしない正義の仮面をかぶった 集合体だからである。 この人権理事会は前身の人権委員会の時代から、常識に反するようなことをモットーとしており、一部宗 教の排斥、家庭=両親の権威の失墜(「こどもの権利条約」などで。そのため、米国はこの条約については 批准していない)。また、男女の結婚を「絶対的なものではない」として認めようとしない。また、もっと大々的 なモットーは「世界中の文化的規範を変えよう」という代物がある。 以前、米国のリチャード・ウィリアムソン国連大使が特別報告で、「国連人権委員会は、普遍的な人権擁 護という国連の目的にほとんど寄与していない」とまで言い切った。この一言で、この人権理事会・人権委員 会の性格が見えてくる。 過去、ルワンダやボスニアの虐殺を防止しなかったし、犠牲者の事後救援も出さなかった。前記のような 集合体であるからとはいえ、おかしいことにこの委員会は、人権擁護の決議などの成立を妨げることに全力 を上げていることのだ。 そのメンバーは、中国、ロシア、キューバ、ミャンマー、スーダン、ベトナム、ジンバブエ、スーダン、パキス タン、アセルバイジャンなどで、アンゴラの場合などは「理事国にふさわしくない」とされながらも選出されてい る。 本来は国連改革の一環として、無茶苦茶な人権委員会の決定を抑えるがための人権理事会の設置が、 かえって混乱を増発するようなメンバー構成となったのは、国連加盟国のうち100ヵ国以上といわれる開発 途上国グループが彼らを陰でフォローしていたからだともいわれている。 国連改革の旗振り役の米国は、選出条件は「総会の3分の2以上の賛成」をと主張したが「過半数」と決 定。そのため、理事国の立候補を見送っている。 このような経緯がある人権理事会は、4月12日、チベットの人権問題を取り上げようとした米欧日に対し 中国が「内政干渉だ」と反発。これにキューバその他の独裁国家が加担。議題として取り上げられることもな いまま、同理事会の会期は終了してしまった。 このように国連を冠にした人権理事会の実態は、まさに「衣の下は」、危険極まりない信念を持った獣の 集まりなのである。元来がそうした集団である上に、現在、新興国に巨額な援助を振りまきつつある中国に は、どうしても逆らうことができない。従って「声明」なんて、考えることができないのだ。 人権擁護法案の何が問題なのか このようにインチキ極まりない人権理事会が、日本に今仕掛けてきているのが「人権擁護法案」である。 人権理事会はすでに日本政府に対して、5月末にまでに実情報告を求めてきているともいわれ、これに対し て、可子数回この法案をオクラにされた法務省がほぞを噛みながら報告書を作成しているようである。 微力ながら「人権擁護法案」の何が問題なのかを、過去の経緯とともに極々簡単にまとめてみた。 法案そのものについても、「産経新聞」は別にして、ずっと他の報道機関はこの法案の本質について報道 することがない。いや、していないのではないか。 そういう中、この法案を通そうと、進歩的な人々の政党ならいざ知らず、保守政党である自民党が、この 政党に相応しくないと思われる古賀誠さん(党外からは野中広務さん)というスンバラシイ人物が何と長年に わたって法案成立に向け頑張っておられる。それこそ、この様相は国際連盟全体の中の人権理事会のメン バーの行動と酷似している。 「人権擁護法案」は、もともとが「同和」を当たりが良い「人権」という言葉に差し替えた、インチキな内容満 載の法案なのだ。 そもそもこの法案の発端は、平成5年の「国連パリ原則」で、その中で「政府から独立した人権擁護機関 の設置を」といわれいるからだとされている。 しかし、当時の政府は、『日本の長年の歴史的背景からして、問題になっているような行き過ぎた人種差 別等々は、日本では起きていない。したがって、現行法を必ずしも変える必要はない。既存の人権体制で十 分であり新たな機関を設置する必要はない』との公式見解を出した。極くまともた見解発表ですね。 ところが部落解放同盟和は、問題点を意図的にすり替え「差別がある!!」と叫び出し、法案原案案をひ ねり出した。 その後自民党、公明党と自由党の3党の連立政権が誕生し「人権問題に関する懇談会」が作られ、ここで 国連の人権委員会の勧告には全然なかった問題、「(日本は)人権委員会=三条委員会として設置する」と いう話が出てきた。 以下に述べる「人権委員会」は、平成17年の政府案の内容であり、19年10月頃から国会提出に向けて 動き出した自民党「人権問題調査会」もこれをベースにしている。この調査会は20年4月時点では、如何に 党内での意見集約を行うか揉めており、意見集約できないまま状態に苛立つ法案推進派が強行突破を計 ろうとしていると言われている。この法案の最大の問題点だとも考えられる人権委員会(三条委員会・5人で 構成)は強大な権力を持つ組織で、その内容は、 ●特別救済手続きを執行、差別助長行為なるものの差し止め請求ができ、そして、委員会は勧告を行う ことができる。 さらに出頭命令権があり、応じない場合は過料30万円まで料せれる。 ●加害者として疑いをかけられた人への保護を法律上全く考えておらず、冤罪の可能性があっても、そ れを是正する仕組みはない。 ●三条委員会には、例えば公正取引委員会があるが、公正取引委員会は強制的立入り調査が可能と なっている(シロであっても名誉回復が難しい)。 これと同様の行為が許される。 (近年よく言われる「内心の自由」には)心とか哲学、信条などの問題に踏み込むことができる。このよ うなシロ・クロを証明することが難しい問題にまで人権委員会は立ち入ることが可能。 ●三条委員会の下には、全国で総数2万人にも上る人権擁護委員が活動(強力でかつファージーな権 力を与えられで暗躍?)する。 国籍条項がないから、外国籍でも人権擁護委員になれる。 極端な場合、金正日総書記の悪口や拉致問題を話したら、訴えられることも充分に考えられるということ になる。 また、疑いをかけられた人の保護については、今年2月の「人権問題調査会」で証言した、法案作成者の 塩野・元東京大学教授は「救済制度を作ることは念頭になかった」と言っており、全く言語同断の法案なので ある。 法案の内容全般に不審、不安、不当を抱かせるが、この人権委員会=三条委員会なるものだけに絞って ざっと上げただけでも、このような、「逆人権侵害」、「言論統制」が含まれている危険な法案なのである。 面白い現象として、今年1月にあの共産党がこの法案について、「言論統制」につながるとして反対を表明 したのである。それこそ「あの」が、他にも問題点を見付け出しているのかも、取り合えず「言論統制」を反対 のポイントとにしたのだろう。付け加えるなら「不当な差別的言動」という定義不可能なものまでが、強制調査 の対象になっている。 さらに大きな問題として、人権委員会=三条委員会は、法務大臣(法務省の外局に付置)の指揮監督を 一切受けないのである。 法務大臣の関与が不可能な「三条委員会」は、公正取引委員会だけに限定されるべき形態であると考え る。 以上は、『危ない!人権擁護法案』人権擁護法案を考える市民の会編(展転社、`06)を参考にしたもの で、人権擁護法案について関心がある方は参考にしてみて下さい(八王子市の場合は、市図書館にある)。 「人権擁護法案」が、仮に公布された場合 この「人権擁護法案」が仮に公布されると、全国の人権擁護委員の2万人が生まれ、はっきりとした基準・ 規定のないまま、各都道府県の人権委員会の事務局が作る「虎の巻」で人権侵害かどうか判断することにな る。従って、人権擁護委員たちの恣意的な判断で、被害者に勝手に仕立て上げることも可能というだ。 これについては前例としては、平成11年の「男女共同参画基本法」の公布後にみられた、「苦情処理委 員会」に対し、何の落ち度もない相手を恨みがあるがゆえに訴えたような事例がかなりあったという。 このように、果たして2万人にも及ぶ人権擁護委員が公正な価値判断を持って事に当たるということは不 可能だという懸念が先にくる。その理由として、「東京新聞」によると、「部落解放同盟では、自分たちの都合 の良い人間を委員などに押し込む方針を決めているという」との記事を見たからである。 また、政府が用意した法案には、「人権の擁護を目的とし、又はこれを支持する団体の構成員」をと例示 されており、この団体とは、部落開放同盟を指していることは疑いようがないのである。 人権委員会の委員長1人、委員4人について、内閣総理大臣が衆参両院の同意を得て任命、任期は3年 という大仰な仕組みだが、果たして公正な立場を保った組織となれるか、内閣府の男女共同参画局の所業 をみても疑問が湧いてくる。 また、法案では人権委員会の人員構成は、「5人のうち同一の性のものが最低2人以上」とあり、そうなる と人権に詳しい専門家のみで構成される可能性は全く薄いことになる。 「人権擁護法案」は、国会提出に至るか 以上が法案策定の経緯と問題点であるが、この法案は、最初、野中広務によって平成14年に国会提出 したが廃案に追い込まれ、すでに3回も空中分解している問題を抱えた因縁付き法案で、それほど不穏当な 法案なのである。 それが、どうして度々出てくるのか。それは与党の一角を占める公明党の存在である。この公明党の選 挙応援があっても廃案にまで追い込んだのに、またしても、昨秋辺りから蠢動を始めたのである。 平成17年に廃案へ追い込んだ、当時の自民党「人権問題調査会」平沢勝栄副会長は、今回の動きをみ て「なぜ、今頃また、生き返ったのか」と嘆いた。 前回の時の平沼赴夫はまだいるが、もう一人廃案に追い込んだ安倍晋三はいないも同然、そういう中で、 中川昭一が頑張っているが、どこまで、今回も廃案に追い込めるか、非常に厳しいと考えざるを得ない情勢 になってきている。 それは、昨秋の福田康夫首相誕生の際、古賀誠が提示されたポストを蹴ってどさくさに紛れ、本来幹事長 の所管ともいえる選挙対策委員長のポストを握ってしまったからである。 これによって、自民党議員は現在は大臣であろうとも首根っ子を抑えられてしまい、よほど自分に自信が ないと反抗できない状況になっているからである。 自民党「人権問題調査会」の開催は、2月以降回数が激しくなっており、法案反対派議員の激しい意見が 飛びかってはいるが、残念ながら場合によっては4月旬辺りまでに「強行採決」に持ち込まれ、推進派が国会 への提出を画策してくるのではないかと心配される。そうなると、自民、公明、民主、社民党の大連合で法案 は成立し、日本が暗黒の闇に追いやられることになる。さらに、その次には「外国人参政権法案」も機会をう かがっているのである。 日本国を忘れ、己の選挙にのみ迷走する議員たちの節操を失った所業の結果で、本来の日本人にとっ ては、息苦しい時代がはじまるのである。 最後にオマケとして北京五輪について触れるが、米国の下院議長ペロシ、オバマ、クリントン、マケイン大 統領候補などの、ブッシュ大統領の北京五輪開会式出席取り止めコールは、4月中旬以降は大きく後退す るだろうと思う。 その理由はただ一つ、中国の胡錦濤総書記が、4月初旬にドル安の一層の低下防止に必要な米国債の 買い付けを約束したからである。 長文にも拘らず、拙論にお付き合い下さいましたことに敬意を表します。 (2008.4.13) |
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