|
3月9日、新聞一面の「ケータイ各社消耗戦激化」に眼が止まった。
携帯電話各社が「家族間通話無料」をさらに「社員間通話無料」に踏み切る状況に入ってきたというのだ。
最近テレビのコマーシャルを見ていてもいろいろな割引が拡大しているなという実感はあったが、この無料
化戦略(果たして戦略といえるか?)を進める結果、記事によるとドコモの場合は、年間8000億円の収入
減になるという。果たして、何のための競争なのか疑問を感じる。
電機各社の場合でいえば、販売競争に敗れれば製品は在庫となるが、最悪の場合は新興国などでの
叩き売りが可能だが、携帯電話の場合は世界基準ではないため拡販性に乏しく、PHSが中国で売れるの
が関の山ではないだろうか。
それをなにゆえに、ドコモに限らず各社とも多大な収益減が予測されるのに競争をしなければならない
のか。また、それほどシェアを獲得に血道を上げなければならないのか。
シェアが上がれはそれに伴う設備投資も必要になるではないか。さらに前述のように無料化による収入
減とのダブルパンチで経営を窮地に追い込むだけではないのか。それにしても、なお、わが八王子市周辺
地区では、ある社の場合、「家族間通話無料、法人内通話無料」に始まり、切り替えは「全機種無料、現金
1万円バック」の新聞チラシを入れてくる始末だ。
収入減が目に見える中でのシェア獲得競争が、経営効率を良くする要因がどこあるというのだろうか。さ
らに、市場が今後拡大するという展望があるのだろうか。今回の大戦争の最大の要因であろうユーザー数
の拡大は、これが望めないのでは。となると、まさに、新聞のコピーにあった「消耗戦」の陰に隠れているも
のは「何か」が気にかかる。
今回の「無料化」氾濫に至った経緯は、料金体系の不明瞭さという贖罪の払拭の流れが一因だとすれ
ば、その点については好意的解釈はできる。
しかし、どうしてもこのままでは深みにはまり一部の会社以外は立ち直りは不可能ではないかとさえ考え
ざるを得ない。
どの業界でも当然競争はある、過当競争といわれたケースも多々あった。その結果敗れる企業があっ
たとしても、生き残って隆盛を成し遂げた企業もあった。
しかし、今回のような携帯電話業界の消耗戦は、ある一部による遠大な戦略・計画、言過ぎかもしれな
いが、一時、ホリエモンで騒がれた新自由主義、市場原理主義的なものに各社が一様に巻き込まれてい
るのではないかと想像する。
だが、携帯電話各社としては当然このような消耗戦によって生じるあらゆる事態を想定した上で臨んで
いることなのだろう。
しかし、「一瞬先は闇」という現代、5年を待たずに業界再編が起こるのではなどと考えると、果たして日
本の何社が生き残っているかが心配される。
しかしいずれにしても、一言だけいうとすれば、各社の最終目的がユーザー獲得にあるならば、「無料
化」に走るよりやるべきことは、コンテンツメニューの充実でユーザーの獲得をし、それによって広告主を
増加させることが、収益を上げるという道につながるのではないだろうか。
とにかく、企業の存続に大きな障害となる消耗戦に危惧を覚えるのは、へそ曲がりの筆者だけの妄想な
のだろうか。
ここで閑話休題。現代は老若男女を問わず猫も杓子(失礼、筆者はアンチ携帯なので)もケータイがなけ
れば夜が明けない有り様である。
携帯電話については、ちょっと考えただけでもご案内のような、いろいろのことが思い出される。
まず、携帯電話の試作品は、1970(昭和45)年の「昭和万博」出されていた。
2000年にはスペインで、携帯電話にコンピューターウィルスが入るという事件が起きて、「へぇー、携帯
電話にもウィルスが入るんだ」と驚いた。
2000年、英国のエリザベス女王は、賓客との会食中でも容赦なく給仕係の携帯が鳴るのに腹を立て、
王室内での「携帯禁止令」を出した。しかし1年後には、女王自身も携帯に興味が増したこともあり、どの
王子だったか忘れたが、携帯電話を贈ることで「禁止令」を解いたということもあった。
同じく2000年、米国で使い捨て携帯が登場。60分使用可能で30ドルとう安価だった上に、生物科学応
用プラスチック製で、使用後は土に戻るという、環境に優しいということで一時的には売れたらしい。
2003年には、現在も使用されているプリペイド携帯電話が登場。契約基本料不要で6800円、だが1分
当たり60円にもなる代物だった。
同じく2003年、太陽光を4時間充電して約1時間使用可能な携帯が1980円で登場したが、なにせ充電
が4時間も必要ということもあり、あまり普及はしなかったようだ。
その後の携帯市場は、うっとおしいほどの激しい変化が起こり、筆者のようなアンチ携帯論者には、さらに
一層無縁の世界となった。
私事で思い出されることは、元の勤務先で20年以上前のことだが東南アジアで多店舗化していた頃、
今、ゼロの市場だが、今後携帯電話が普及する、店内に展示販売所を置くべきだ」と提案したものの、素
気なく退けられた。後年、お偉いさんに、「あの時設置しておけば、店舗展開がさらに幅ができた」と、悔し
がられたことがあった。その昔は、携帯電話の将来なんかを、鼻にも引っかけない時代感覚の人間が経営
の舵を執っていたのだ。
(2008.3.9) |